近所の犬が夜中に吠えるため、うるさくて困っています。苦情も伝えましたが、納得できる対応をしていただけません。どのような解決方法があるのでしょうか。

(質問)

近所の犬が夜中に吠えるため、うるさくて困っています。苦情も伝えましたが、納得できる対応をしていただけません。どのような解決方法があるのでしょうか。
(回答)

工場、建設工事や自動車等から発生する騒音については騒音規制法により規制されていますが、同法は生活騒音には適用がなく、各自治体が独自の条例を定めて生活騒音に関する規制や基準を定めています。神奈川県では、神奈川県生活環境の保全等に関する条例第百二条が、日常生活に伴って発生する騒音による公害を生じさせることがないように配慮すること、地域の快適な生活環境の保全に努めることを定めています。各市町村が生活騒音について相談窓口を設けていますので、一度、自治体に相談してみることが考えられます。
 自治体に相談しても解決できないような場合、犬の鳴き声が社会生活を行う上で受任すべき限度を超えているときは、飼い主に対し、防音設備の設置など、騒音の防止を求める請求や精神的苦痛に対する慰謝料の請求ができる場合があります。受忍限度を超えているか否かは、鳴き声の大きさ、鳴いている時間帯、鳴いている時間の長さ、ご相談者の居住する地域の状況、頭痛や不眠等の被害の発生などの事情を考慮して判断されます。
 これらの請求を直ちに訴訟によって行うことも考えられますが、隣近所の関係でもあることからすると、簡易裁判所での調停により、話し合いによる解決を検討することも一つの方法であると思われます。 (担当弁護士)  加藤 修一 
カテゴリー: 土地・住宅のこと

会社側から月に10時間以上、時間外勤務をしないよう命じられていますが、業務の都合上、どうしてもこれを超えてしまいます。この場合、時間外手当を請求できるでしょうか?

(質問)

会社側から月に10時間以上、時間外勤務をしないよう命じられていますが、業務の都合上、どうしてもこれを超えてしまいます。この場合、時間外手当を請求できるでしょうか?
(回答)

使用者は、労働基準法上の労働時間(原則として1日8時間、週40時間)を超えて、当然には労働者を働かせることはできず、使用者が法律上必要な手続きをとり、時間外労働をさせることが許される場合でも、使用者は、労働基準法上の労働時間を超える部分について、所定の賃金の25%増の賃金を支払わなければなりません。
 この点、明確に時間外業務の命令がなかったとしても、使用者側で労働者が時間外勤務をしている事実を認識していた場合には、時間外手当を支払わなければなりませんが、他方で、会社側から明確に時間外勤務を禁止する命令が出ていた場合、これに反して業務を行ったとしても、その業務は労働時間にあたらず、時間外手当を請求できないとする裁判例があります。もっとも、これらの裁判例によっても、時間外手当の対象となる時間外勤務にあたるかどうかは、指示された業務の処理に要する時間、所定の時間までに処理できなかった場合には管理者に業務を引き継ぐなどの代替措置が指示されていたか否かなどを考慮することになっており、ご質問のように、時間外勤務が、業務の都合上、どうしても会社の命令である月10時間を超えてしまうような場合には、時間外手当を請求できる可能性があります。 (担当弁護士) 鈴木 亮
カテゴリー: 仕事のこと

祖父が賃借している土地上に立っている祖父名義の家に住んでいます。祖父が亡くなった後もこの家に住み続けることは可能でしょうか。

(質問)

祖父が賃借している土地上に立っている祖父名義の家に住んでいます。祖父が亡くなった後もこの家に住み続けることは可能でしょうか。また、将来建替えを考えておりますが、祖父が亡くなった後の建替えは可能でしょうか。
(回答)

1.相談者の親(祖父の子)がすでに亡くなっているなど、相談者が祖父名義の家を相続し、土地の賃借権(借地権)を相続することができれば、この土地の賃借人として居住を継続することができます。また、相談者以外の親族がこの家と借地権を相続した場合、この相続人との間で居住継続について合意ができれば、居住を継続することが可能です。以上の場合、地主の承諾は必要ありません。
なお、相談者が相続人ではない場合でも、祖父がこの家と借地権を相談者に遺贈する旨の遺言を作成していれば、祖父が亡くなった場合に家と借地権を祖父から承継することができますが、相続の場合と異なり、相談者が借地権を譲り受けることについて地主の承諾が必要になります。借地権の譲り受けが地主に特設の不利益を与えないにもかかわらず、地主が承諾しない場合には、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求めることができます。なお、裁判所が許可するにあたり、地主への一定額の支払いを条件とされることがあります。
2.建替えについては、土地賃貸借契約には増改築について地主の承諾を要する旨の条項があることが多く、このような条項がある場合、建替えには地主の承諾を得る必要があります。 土地の通常の利用上相当であるにもかかわらず、地主が建替えを承諾しない場合には、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求めることができます。なお、裁判所が許可するにあたり、地主への一定額の支払いを条件とされることがあることは、借地権を譲り受ける場合と同様です。 (担当弁護士) 加藤 修一
カテゴリー: 土地・住宅のこと

20年以上前に購入した土地に公有地が含まれている事がわかりました。

(質問)

20年以上前に購入した土地に公有地が含まれている事がわかりました。土地の上には建物が建っていますが、行政から建物の撤去を求められた際は、それに従わなくてはならないのでしょうか?
(回答)

他人名義の土地を長期間占有していた場合、通常は、民法162条に規定されている取得時効の要件を満たせば、その土地の所有権を取得する事が出来、名義人から建物の撤去を求められても、撤去する義務はありません。
使用していた土地が公有地の場合でも、所得事項は認められるでしょうか。
この点、公有地などの「公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての携帯、機能を全く喪失し、そのものの上に他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、その為事実上公の目的が害されるようなことも無く、もはやそのものを公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合」には、黙示的に公用が廃止されたものとして、公共用財産も取得時効の対象となり得ます(最高裁判所昭和51年12月24日判決)。裁判例によれば、この目次的に公用が廃止されたという状況は、所得事項の要件である所有の意思を持った占有を開始する時までに発生していなければいけません。
なお、所有の意思を持って占有していたといえるかは、客観的な事情から判断されますので、例えば、公有地部分を含めて購入したといった場合でなければならず、公有地を勝手に占拠したといった場合には認められません。
今回問題となっている公有地について所得事項が認められるか検討するには、占有を開始したときに、すでに黙示的に公用が廃止されたといえる状態であったか、という点を確認する必要があり、公用が廃止されたといえれば、所得時効を主張することで、建物を撤去する必要が無くなります。
他方、所得時効が認められない時は、その公用地を管理している行政から払い下げを受ける事が可能な場合もありますので、行政にご相談されるのが良いでしょう。




(担当弁護士)
吉田瑞穂
カテゴリー: 土地・住宅のこと

土地家屋を売却しようとしたところ、実際の土地の形と土地が分筆された当時の地積測量図が異なると言われた。

(質問)

10年ほど前に購入した土地家屋を売却しようとしたところ、実際の土地の形と土地が分筆された当時の地積測量図が異なると言われました。きちんと測量し、公図の訂正や地積の更正をしないと売却できないそうです。この費用は購入時の仲介業者に請求できるでしょうか?
(回答)

宅地建物取引業には免許制度が設けられており、宅地建物取引業(仲介業者)は、宅地建物を取得しようとしている者に対し、宅地建物に関し、宅地建物取引業としての専門的地位に相応する水準の調査を行い、説明する義務が課せられています。
専門的地位に相応する水準の注意義務として、宅地建物取引業(仲介業者)は、対象となる宅地建物の権利関係を調査し、権利関係に疑義を生じるおそれのあることを認識した場合には、これを買主に説明し、買主が正確かつ適切な情報に基づいて取引できる環境を整える仲介契約上の注意義務を負っていると考えられます。
実際の土地の形と地積測量図が異なっている場合、隣地所有者との間で所有権をめぐる紛争が生じる可能性があり、権利関係に疑義を生じるおそれがあるところ、地積測量図は法務局で容易に閲覧できることから、買主にこの土地の形状等から生じ得る問題について説明しなかったことは、上記の注意義務を怠ったものといえます。
宅地建物取引業(仲介業者)の注意義務違反がなければ、新たな測量、公図の訂正及び地積更正の費用が発生しなかったといえますので、宅地建物取引業(仲介業者)に対し、これらの費用を損害賠償として請求できる可能性があります。
なお、土地の購入から10年以上が経過していた場合、仲介業者から消滅時効を主張される可能性がありますが、本件は、注意義務違反と損害の発生を知ってから3年は経過しておらず、土地の購入時から20年は経過していないようですので、注意義務違反が不法行為であると主張し、不法行為に基づく損害賠償請求として宅地建物取引業(仲介業者)に支払を求めることができる可能性もあります。

(担当弁護士)
加藤修一
カテゴリー: 土地・住宅のこと

従業員の人員整理を考えていますが、どのように手続きを進めるべきでしょうか?

(質問)
近所に郊外型の大規模店舗ができたため、会社の経営が行き詰まり、融資の目途も立っていません。苦渋の選択として従業員の人員整理を考えていますが、どのように手続きを進めるべきでしょうか?

 
(回答)
会社の経営再建のために人員整理が必要な場合であっても、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」と認められない場合には、解雇は無効となりますので(労働契約法16条)、慎重な対応が求められます。
これまでの裁判例では、①人員を削減する必要があること、②解雇を避けるために努力をしたこと、③解雇される者の選び方が合理的であること、④解雇までの手続が妥当であることの4つの要素が、解雇が有効となるか無効となるかの判断のポイントになっています。
以上の要素から手続の進め方を考えると、まず、上記①については、経営の合理化などを図ってもなお人員整理の必要があることについて、決算書などの具体的な資料に基づいて説明できるようにしておく必要があります。次に、上記②については、従業員に十分に事情を説明したうえで、配置転換や希望退職者の募集を行い、解雇以外の手段で経営再建を達成できるようなできる限りの措置を講じる必要があります。それでも解雇以外に方法がない場合、上記③について、対象者の選定基準を作成する必要があります。勤務成績、会社への貢献度、解雇による経済的打撃の大きさなどが選定にあたっての要素となりえますが、性別を理由としたり、「誠実」「勤勉」などといった抽象的な基準によるときは、合理的なものとは認められない可能性があります。さらに、従業員への選定基準の適用においても公平になされることが求められます。
以上の過程において、上記④に関し、労働組合または労働者(少なくとも労働者の過半数を代表する者)に十分な説明を行い、協議を尽くすことも重視されていますので、上記①から③を形式的に満たしていても、十分な説明を尽くさない抜き打ち的な解雇は無効となる可能性が高いといえます。

 

(担当弁護士)
加藤 修一

カテゴリー: 事業のこと

遺言書の効力に時効はありますか?

(質問)
3年前に亡くなった父が、遺言書を残していますが、まだ遺産分割をしていません。遺言書の効力に時効はありますか?

 
(回答)
遺言は、原則として遺言者が死亡した時に効力が発生し、効力発生後に遺言の効力が時効によって消滅することはありません。そのため、お父さんが亡くなられから3年経った現在においても、遺言書の効力に影響はなく、その遺言書に基づいて遺産の継承、分割を行うことになります。
なお、お父さんの遺言書が自筆証書遺言であった場合、遺言書を発見した相続人は、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出して、検認という遺言書の存在、状況を確認する手続を行わなければなりませんので注意してください。

 
(質問)
父が亡くなった後に、私の弟を除く父の相続人全員が相続の対象だった財産を放棄し、弟がすべて相続しました。もし弟が亡くなった場合、弟が相続した父の遺産はどのようになるのですか?弟には配偶者も子供もいません。母も既に死亡しています。兄弟である私が再び父の遺産であった財産を相続することになるのでしょうか?

 
(回答)
相続人の順位は、配偶者が常に相続人となることを除くと、子が第一順位、直系尊属つまり両親や祖父母、曾祖父母が第二順位となり、兄弟姉妹は第三順位となります。第二順位までの相続人がいらっしゃらなければ、本件では、ご相談者が第三順位の相続人として弟を相続することとなります。
弟が既に父の遺産を単独で相続していますので、弟の遺産を相続する際には、弟が相続した父の遺産も一緒に相続することとなります。ご相談者は父の相続の際、遺産を放棄されていますが、弟が相続した父の遺産を相続したくないのであれば、別途弟の相続を放棄しなければなりません。このとき、父の遺産を除く弟の遺産だけを相続するということはできませんので、父の遺産を相続したくないのであれば、弟の遺産全てを放棄しなければならないこととなります。
なお、相続放棄は、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して行わなければなりませんので、注意してください。

 

(担当弁護士)
鈴木 亮

カテゴリー: 相続のこと

隣家の猫の糞尿被害で悩んでいます。

(質問)

隣家の猫の糞尿被害で悩んでいます。飼い主に対しどのような請求ができますでしょうか。


(回答)
動物の飼育に関しては、「動物の愛護及び管理に関する法律」が「動物の所有者又は占有者は、・・・動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、・・・動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないよう努めなければならない」(法律7条1項)と規定しています。また、この法律に基づく「神奈川県動物の愛護及び管理に関する条例」も、ペットが他人の土地を汚物で汚さないように訓練するといった飼い主の守るべき事項を定めており、飼い主にはペットが他人に迷惑をかけないように努めなければならない義務があります。
ご相談は、隣家とのトラブルということですので、まずは話合いによる解決を目指し、隣家の飼い主に猫による被害の状況と飼い主の責務を説明し、猫の侵入防止のフェンス設置など、必要な措置を行うよう求めてみるのがよいと考えます。また、市役所や保健所などの行政の相談窓口に相談し、先ほど挙げた条例に基づき、飼い主が守るべき事項に違反していることを報告し、役所から指導等を行うよう求める方法も考えられます。
それでも飼い主が適切な対応をしてくれないようであれば、民法718条に、動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害について、動物の種類及び性質にしたがって相当の注意をもってその管理をしていなかった場合には、損害を賠償する責任を負うとの規定がまりますので、飼い主が、相談者の敷地に猫が侵入して糞尿をしていることを知りながらこれを放置し、相談者からの求めや役所の指導等にも応じなかったこと等の事情により、相談者が社会生活上我慢しなければならない限度を超えて糞尿被害を受けたと判断できれば、裁判者に対して、飼い主に慰謝料等の損害賠償を求める訴えを提起することが考えられます。その際、相談者が猫の侵入防止のために自費でフェンスを設置しなければならなかった場合には、この費用について、賠償の対象になる可能性があります。
なお、訴訟手続の前に、飼い主を相手方として、裁判所で話合いを行う民事調停を申し出るという方法も考えられますが、飼い主が調停に欠席した場合や調停での話し合いで合意できなかった場合には、調停での解決はできません。


(担当弁護士)
吉田 瑞穂

カテゴリー: 相続のこと

友人の株式会社の取締役になり、その会社が倒産してしまった場合、私が会社の債務を負うことはないのでしょうか?

(質問)

友人から「名義だけ貸してほしい」と頼まれ、友人の株式会社の取締役になってしまいました。その会社が倒産してしまった場合、私が会社の債務を負うことはないのでしょうか?


(回答)
会社の債務について保証人になっていない限り、本来であれば、会社の債務を返済すべき責任はありません。ただし、会社の違法行為や債務不履行を知りながら、または、知らなかったことに重大な過失があるような場合には、これにより損害を受けた者に対し、取締役が損害賠償責任を負うことがあります。倒産の場合では、会社が倒産することを承知のうえで、返済見込みのない借入を行ったり、代金支払ができないことを承知で商品を購入したりしたような場合には、取締役がこれらによって損害を被った者に対し、賠償責任を負う場合がありえます。
実際に経営に関与していなかった名目的な取締役についても、取締役の地位にある以上、損害賠償責任を負う場合があり、友人の会社が違法な行為により第三者に損害を与えた場合、それを知りながら放置していたといった事情があると、取締役として損害賠償責任を負う場合もありえますので、注意してください。

(担当弁護士)
加藤 修一

カテゴリー: お金のこと, 事業のこと

成人した大学生の息子が、サラ金から借金をしていました。どのように実態を把握し、また、返済したらよいのでしょうか?

(質問)

成人した大学生の息子が、サラ金から借金をしていました、実際の債務の状況もわかりません。どのように実態を把握し、また、返済したらよいのでしょうか?

(回答)
取引の実態を把握するためには、サラ金等の貸金業者に対して取引の履歴を明らかにさせることが必要です。借入と返済の年月日及び借入額・返済額を明らかにすることで、取引の実態を把握します。その際、完済した借入についても全て明らかにさせることが大切です。
取引の履歴が明らかになったら、法定の上限利率に基づき、利息の再計算を行うことが必要です。法律に定められている上限利率を超える利息を請求し、これを支払わされていることがありますが、このように計算した結果、債務額が少なくなる場合があり、さらには返済しすぎていたことにより、払いすぎていた過払金の変換を受けられる場合もあります。
以上の調査の結果、払い過ぎていた場合には返還を受けたうえで、債務が残るようであれば、正しい債務額を支払可能な金額で一括または分割で返済する交渉をし、合意した内容で返済してゆくべきです。
これらの調査や交渉をご本人で行うことも不可能ではありませんが、きちんとした処理を行うためには、弁護士にご相談されることをお勧めします。

(担当弁護士)
鈴木 亮

カテゴリー: お金のこと