土地家屋を売却しようとしたところ、実際の土地の形と土地が分筆された当時の地積測量図が異なると言われた。

(質問)

10年ほど前に購入した土地家屋を売却しようとしたところ、実際の土地の形と土地が分筆された当時の地積測量図が異なると言われました。きちんと測量し、公図の訂正や地積の更正をしないと売却できないそうです。この費用は購入時の仲介業者に請求できるでしょうか?
(回答)

宅地建物取引業には免許制度が設けられており、宅地建物取引業(仲介業者)は、宅地建物を取得しようとしている者に対し、宅地建物に関し、宅地建物取引業としての専門的地位に相応する水準の調査を行い、説明する義務が課せられています。
専門的地位に相応する水準の注意義務として、宅地建物取引業(仲介業者)は、対象となる宅地建物の権利関係を調査し、権利関係に疑義を生じるおそれのあることを認識した場合には、これを買主に説明し、買主が正確かつ適切な情報に基づいて取引できる環境を整える仲介契約上の注意義務を負っていると考えられます。
実際の土地の形と地積測量図が異なっている場合、隣地所有者との間で所有権をめぐる紛争が生じる可能性があり、権利関係に疑義を生じるおそれがあるところ、地積測量図は法務局で容易に閲覧できることから、買主にこの土地の形状等から生じ得る問題について説明しなかったことは、上記の注意義務を怠ったものといえます。
宅地建物取引業(仲介業者)の注意義務違反がなければ、新たな測量、公図の訂正及び地積更正の費用が発生しなかったといえますので、宅地建物取引業(仲介業者)に対し、これらの費用を損害賠償として請求できる可能性があります。
なお、土地の購入から10年以上が経過していた場合、仲介業者から消滅時効を主張される可能性がありますが、本件は、注意義務違反と損害の発生を知ってから3年は経過しておらず、土地の購入時から20年は経過していないようですので、注意義務違反が不法行為であると主張し、不法行為に基づく損害賠償請求として宅地建物取引業(仲介業者)に支払を求めることができる可能性もあります。

(担当弁護士)
加藤修一
カテゴリー: 土地・住宅のこと