遺言書の効力に時効はありますか?

(質問)
3年前に亡くなった父が、遺言書を残していますが、まだ遺産分割をしていません。遺言書の効力に時効はありますか?

 
(回答)
遺言は、原則として遺言者が死亡した時に効力が発生し、効力発生後に遺言の効力が時効によって消滅することはありません。そのため、お父さんが亡くなられから3年経った現在においても、遺言書の効力に影響はなく、その遺言書に基づいて遺産の継承、分割を行うことになります。
なお、お父さんの遺言書が自筆証書遺言であった場合、遺言書を発見した相続人は、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出して、検認という遺言書の存在、状況を確認する手続を行わなければなりませんので注意してください。

 
(質問)
父が亡くなった後に、私の弟を除く父の相続人全員が相続の対象だった財産を放棄し、弟がすべて相続しました。もし弟が亡くなった場合、弟が相続した父の遺産はどのようになるのですか?弟には配偶者も子供もいません。母も既に死亡しています。兄弟である私が再び父の遺産であった財産を相続することになるのでしょうか?

 
(回答)
相続人の順位は、配偶者が常に相続人となることを除くと、子が第一順位、直系尊属つまり両親や祖父母、曾祖父母が第二順位となり、兄弟姉妹は第三順位となります。第二順位までの相続人がいらっしゃらなければ、本件では、ご相談者が第三順位の相続人として弟を相続することとなります。
弟が既に父の遺産を単独で相続していますので、弟の遺産を相続する際には、弟が相続した父の遺産も一緒に相続することとなります。ご相談者は父の相続の際、遺産を放棄されていますが、弟が相続した父の遺産を相続したくないのであれば、別途弟の相続を放棄しなければなりません。このとき、父の遺産を除く弟の遺産だけを相続するということはできませんので、父の遺産を相続したくないのであれば、弟の遺産全てを放棄しなければならないこととなります。
なお、相続放棄は、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して行わなければなりませんので、注意してください。

 

(担当弁護士)
鈴木 亮

カテゴリー: 相続のこと