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被災地支援報告会のレポートについて

総務課の杉崎です。

4月30日の被災地支援報告会のレポートを作成致しましたので、
ご覧下さい。

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また、私の長~い感想文も載せますので、もし時間がある方は
ご覧になってみて下さい。

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今回の被災地支援で、初めて気付かされたことは多い。被災地支援緊急報告会の3人の話から、共通する重要な点が読み取れたので、整理していく。

①被災直後は、受け取ったモノを仕分けする余裕など現地にはない。また、物資を送る側が「送るべきだ」と気づいたモノのみが届くことになる。つまり、物資を単品でバラバラと送ることは迷惑になるため、必要な「セット」を組んで送らなければならない。

②現地で求められるのは、介護や医療の専門性を持った人材である。また、阪神淡路大震災の「地震」による被災のときに必要とされた、けが人を救うための急性期医療のニーズは低かった。「津波」による被災を免れた人々への慢性期の医療や、メンタル面のケアのニーズが高い。よって、同じ「被災地」でも、被災の原因や状況、地域の性質などにより必要になるモノ、ヒト、支援は異なるということである。

③支援には、情報が欠かせない。ニーズに合った支援をするためには、現地の情報を仕入れる必要があった。そのために、全国的な組織のネットワークが役に立つということが分かった。福井記念病院は、全国老人保健施設協議会という組織から、支援の要請を受け、現地が求める支援の形態にぴったりとはまる支援を提供することができた。三浦市農協は、農協中央会から物資の適切な送り方を聞き、キャベツや大根を役に立つ形で届けることができた。
また、正しい情報を地道に収集・発信することが、1番の風評被害対策になる。福島では、「ナトリウムが放射性物質対策になる」という噂が広まっていた。一方関西からは、原発の影響を受けていないことが明らかになっている関東産のキャベツを、「いらない」といわれてしまった。未曾有の事態なので、得られない情報があることも確かである。そのような中で、正しい情報を集め、信用のある形で発信していくことが、人々の正しい理解・行動に繋がっていく。

④三浦市の現状を改めて確認し、三浦市をどのように守るのかについて、市全体で考えていく必要がある。まず、被災時対策の基本的な、「そもそも」の部分の整備が必要である。「そもそも」今ある避難所は、本当に安全な場所に設置されているのか。「そもそも」各家庭は、緊急時の集合場所を決めているのか、「そもそも」どのルートを通ってどうやってそこにたどり着くのか。
また、三浦市に在住する医療・介護従事者が少ない。そのため、医療・介護従事者が横須賀などの自宅に居る時間帯に災害が起きたら、三浦市民の命を守ることが困難になってしまう。

このような要点を含んだ、3人からの報告と、意見交換があった。


では、今回の報告会から、三浦市社協の役割とは何かを考えたいと思う。
まず1つ目に、新たな協力関係を立ち上げるための「技術」を磨いておくことである。
福井記念病院は、現地においてニーズを把握し、その支援のために必要なネットワークを構築し、要介護高齢者の仮の住まいとなる、炭の家の体制を作り上げた。
今回、三浦市社協はその体制ができあがったところに、介護の人材として参加をした。社協には「地域の資源を活かす」という基本姿勢があるため、間違ったことをしている、という訳ではない。しかし、「ニーズと支援者を結びつけること」や、「支援者間のネットワーク作り」についても、本来社協が担うべき役割である。しかしながら、今すぐにでも私たちもやりたい、といって簡単にできるようなことではない。また、今その役割を担っている機関があるのに、同じような役割をそばですることは、効率的な支援ができているということにはならない。
そこから、次にこれらの役割が必要となる事態が起き、社協がその役割を担うことになったとき、よりよい支援を行うためには、必要なネットワークをつくるための「技術」が必要になるだろう。
私達は常日頃から、新しい事業を始めるときなどにおいて、地域住民や団体・組織と新たな協力関係をつくる機会に恵まれている。この機会の多さを活かし、意識して関係づくりをしていくことで、被災地で新たに関係をつくるための「技術」を磨いていくことが可能になるだろう。
また、今回これらの役割を担った福井記念病院や、阪神淡路大震災などの震災時の支援にあたった機関などといった、経験を持つ機関から、いきさつや方法などについて伺うことが重要な手がかりになることが考えられる。

2つ目に、三浦市が被災したときへの「備え」として、ネットワークを構築しておくことである。
災害時の対策・準備のため、あるいは被災したときに連携を取りたくなる団体・機関を考え、繋がりをつくっておくことも、三浦市の「備え」になる。被災して、三浦市社協の機能が麻痺したときのために、他県の市町村社協と提携しておくことで、被災後に必ずニーズがある生活福祉資金を提供できるようになる。また、地域の諸機関・団体との関係づくりも必要であるだろう。今回、計画を立て、準備をしていたとしても、自然災害の前には全て無意味になってしまうということが分かった。つまり、市役所や病院やNPO法人など、数多くある地域の機関・団体の、どこが災害時対策の中心となるかは、実際に災害が起きてみないと分からないということである。それ故に、どことでもある程度スムーズに連携を取れるように、最低限の関係を築いておくことが必要になると考える。
「最低限の関係」として、例えば、災害時に必要な役割を持っている機関・団体が普段使っている建物が壊れてしまったときには、社協や、それ以外の建物を使える段取りにしておくことが挙げられる。また、他の建物でも仕事ができるよう、必要最低限の資料を社協で保管することができるようにすることもいいのではないか。
 なお、1つ目に述べた、「経験を持つ諸組織からの聞き取り」は、ネットワークの構築の際にとても重要になると考える。体験談の中には、社協以外の組織や人間が受け持つこと、あるいは、社協と他の組織が共同でやることがよりよい役割の存在も出てくるだろう。その情報を積極的に、該当する組織に伝えていき、担当分けをしたり、協同の体制をつくる。そうすることで、より効率的な対策と実践が可能になるだろう。

3つ目に、広い視野からのアプローチである。
障害者や子ども、高齢者などと、対応できる範囲の広さを活かし、現地において、1人1人のニーズを見つけ、相応しい支援に繋げたいと考える。
子どもや高齢者についての報道は多く、認知度も自然と高まるだろう。しかし、それ程目立つことがない困難を抱えてしまっている人々もいることが考えられる。
例えば、支援に専門性が必要になる障害者や、ボランティアを受け入れる体制が整っていないが故に人手が足りない施設、現在緊急で施設入所しているが介護保険が適用されないため今後に不安を抱える人などである。
今回のように、支援している多くの団体・機関のサポートをすることも重要な役割である。しかし、それでも、100%の人が支援機関・団体と十分に繋がることはない。それをできるだけ100%に近づけるための広い支援を担うべきである。


現場で得た学びと感情を風化させることなく、また、報告会で得た、多様な視点からの気付きを踏まえて、三浦市と、他地域の福祉の推進を実践していきたい。

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読んで下さった方、ありがとうございました。