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法人後見受任団体連絡会

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三浦市社会福祉協議会常務理事の佐藤千徳です。
昨日、本年度最後となる「法人後見受任団体連絡会」を開催し、処遇困難事例のケース検討をおこないました。

事例を提出したのは、本会地域包括支援センターの山口です。
彼女の当初の思惑は、処遇困難事例を通して、老人福祉法上の市町村の職権による措置(やむを得ない事由による措置=やむ措置)が、この三浦市においておこなわれていない現状と地域包括支援センターに課せられた「適切な支援につなぐ」という行為が果たしてどのようなものなのか―ということを俎上にあげることでした。
果たして、山口からすると「会議は踊る。されど進まず」といった思いを強くするカンファレンスだったかもしれません。

それでは何故、議論が噛み合わなかったのでしょう。
一つは、特定の強い発言力に議論そのものが牽引されてしまったということ。もう一つは、対象ケースとの距離感です。対象ケースと粘り強く関わり、限られたリソースに結びつける労力は、それに携わった者にしかわかりません。しかも本会地域包括支援センターのスタッフは「適切な支援につなぐ」という行為がどのようなものであるのか自信を持てないでいるのです。
それでは、適切な支援につなげたかどうかを評価するのは誰なのでしょうか。行政でしょうか。それとも僕ら上席につく者なのでしょうか。優等生的回答ということであるならば「本人やその家族」ということになるのでしょう。嗚呼、それでも釈然としません。きっと「答え」は一つではないのです。だからこそ、地域包括支援センターの職員は悩むのです。鈍感な僕でもそれくらいのことはわかります。決して地域包括支援センターのスタッフを孤立させてはいけない―そんな思いにも駆られます。
個々の職員の精神的ケアは、それぞれの所属団体の責務ではありますが、センターのスタッフが「安心感」を持って、仕事に従事するためには、行政の環境整備は不可欠です。やむ措置もその一つなのです。委託という名目で、業務を丸投げしたり、自治体としての独自性や企画力を放棄してはならないのです。

話しが逸れましたね。ケース検討の難しさについて話を戻しましょう。
当然、事例提供者と対象ケースの人となりを知らない者との間には温度差が生まれます。この温度差を埋める方策はただ一つ。会議の構成者が対象ケースに対するイメージを喚起できるような事例報告をすることにあります。しかし、それはそう簡単なことではありません。弛まない努力や工夫が強く求められます。やれやれ。

でも一つだけ核心を持ったことがあります。こうしたケース検討は、ある意味において、リスクの配分なのだということ。
地域包括支援センターがおこなった「支援へのつなぎ」が適正であったか否かを評価することはできないにしても、一連の行為を共有した責任は、会議の構成者の全てが背負うことになるのですから。

最後にこれだけは強調させてください。山口の事例報告からは、対象ケースの「命」を守りたいという強い思いが伝わってきました。対象ケースと真摯に対峙している姿が目に浮かびました。僕はそのことを誇りに思います。