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日常生活自立支援事業に三浦市が補助金を支出する意味について(雑感)

 行政がその権限を強権発動することによって、サービスの利用決定を行う職権措置から、高齢者分野では平成12年、障害者分野では平成15年の法改正により、(市場化による)契約へと移行を果たし、サービス提供を受けるクライエントは、福祉サービスを選択し、これを購入する時代へと変容した。
 こうした中、判断能力が不十分であったり、または判断能力が著しく欠如した当該者に対する権利擁護を目途に、成年後見制度や日常生活自立支援事業(旧地域福祉権利擁護事業)は創設された(以下はその法的根拠)。

社会福祉法
(定義)
第二条  この法律において「社会福祉事業」とは、第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいう。
(中略)
3  次に掲げる事業を第二種社会福祉事業とする。
(中略)
十二  福祉サービス利用援助事業(精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービス(前項各号及び前各号の事業において提供されるものに限る。以下この号において同じ。)の利用に関し相談に応じ、及び助言を行い、並びに福祉サービスの提供を受けるために必要な手続又は福祉サービスの利用に要する費用の支払に関する便宜を供与することその他の福祉サービスの適切な利用のための一連の援助を一体的に行う事業をいう。)

 この福祉サービス利用支援事業こそ、神奈川県でいう「日常生活自立支援事業」である。
福祉サービス利用支援事業が、2種事業に位置付けられた背景には、地方自治法が深く関わっている(以下参照)。

地方自治法
(現金及び有価証券の保管)
第235条の4  普通地方公共団体の歳入歳出に属する現金(以下「歳計現金」という。)は、政令の定めるところにより、最も確実かつ有利な方法によりこれを保管しなければならない。
2  債権の担保として徴するもののほか、普通地方公共団体の所有に属しない現金又は有価証券は、法律又は政令の規定によるのでなければ、これを保管することができない。

 つまり、地方自治体は、本事業を直営することが法で禁じられているのである(第1種は、自治体ないし、社会福祉法人でなければ運営できない)。そこで、神奈川県では、これを県下市町村社協に担わせるべく、神奈川県社会福祉協議会の委託事業とした。当初から、業務量に反し、委託料が低廉であることから、各市町村社協は、その受託を危惧したわけであるが、その不足分については、一定割合において、当該市町村が負担することで落ち着いた経緯もある(社会福祉法第6条関係)。こうした状況から三浦市では、これを補助金としてご支援してきたわけである(市町村によっては、事業費補助としてではなく、専門員の人件費補助という形態でこれを支給しているケースもある)。
 社会福祉法第6条の規定は次のとおり。

(福祉サービスの提供体制の確保等に関する国及び地方公共団体の責務)
第六条  国及び地方公共団体は、社会福祉を目的とする事業を経営する者と協力して、社会福祉を目的とする事業の広範かつ計画的な実施が図られるよう、福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策、福祉サービスの適切な利用の推進に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない。

 三浦市社会福祉協議会が日常生活自立支援事業は、これまでも判断能力が不十分な当該対象者を支えてきた実績もあり、この事業を契機に神奈川県でも比較的早く法人後見事業に乗り出した経緯もある。そもそも、三浦市民の権利を守るのは三浦市の使命に他ならない。仮に、本会が本事業の継続を断念した場合、割を食うのは市民の側である。
 また、平成24年3月に策定された「三浦市障害者福祉計画」では、32㌻にある地域福祉権利擁護事業において「三浦市では、この事業にあたる日常生活自立支援事業を行っている三浦市社会福祉協議会に、費用の一部を補助します」としており、補助金の支出は行政計画にも位置付けられている。

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